◆ ロングスパンQ&A ◆
Q 1) 緩衝金具が作動した場合,横ロープの取り替えが必要なのでは?
A 1) 横ロープは取り替えの必要がありません。横ロープを緩衝金具に固定する楔は,特殊鋼
(軟鉄)で出来ており,楔が削れることでワイヤロープが傷つかない構造になっており
ます。そのため,落石衝突後のメンテナンスは,楔の交換と傷になった金網の部分補修
で完了します。
Q 2) 連続して落石を受けると緩衝金具の作動を踏まえてネットはどうなりますか?
A 2) 金網については同一箇所に落石が2度衝突すると破網する可能性が高いです。同じ箇所
でない場合は,緩衝金具のスリップ長が不足しないかぎり連続衝突に耐えられます。
最大スリップ長は,400kJのエネルギーを吸収した場合50cm程度であることを実証実験で
確認しております。そのため,1.5mのスリップ余長を設けておけば,3回の衝突には対応
できると考えられます。
Q 3) 最上段の横ロープに緩衝金具が装着されていないが,上のスパンでは落石を受け
止められないのか?必然的に金網高さを上げる必要があるのですか?
A 3) ポケット式落石防護ネットの場合,設計上の落石衝突位置は最上段横ロープと2段目の
横ロープとの中間とされています。そのため,他の工法と設置高さは同じになります。
実証実験におきましても,最上段の横ロープには緩衝金具を装着せずに,2段目の横ロ
ープとの中間位置に衝突させて確認しております。
Q 4) 緩衝金具の性能証明はありますか?
A 4) 衝撃試験による開発元の検査成績証明書がございます。
Q 5) 緩衝金具の作動に関する管理方法は?
A 5) 各地域の代理店が毎月巡回点検します。そのうえで,リセットが必要な箇所については
管理者にご報告します。
Q 6) サグ量はどのように決めていますか?
A 6) サグ量はスパンの1/10としております。サグ量を大きくすればワイヤロープの張力は減
少しますが設置高さが高くなるため,本工法では経済性の観点から1/10としております。
計算方法は吊り橋と同様です。
Q 7) 支柱に枝のようなものがあり,最上段の横ロープを接続して金網を架けているの
で,この枝から支柱に対してネジリの力が働くと思われるが,その検討はされて
いますか?
A 7) 最上段の横ロープは,サグロープに吊り金具で結合されているため,金網等の重量は添
架されておりません。支柱の枝は,横ロープを引っ張る時にネットが山側に変位するこ
とを防止するものです。横ロープは固定されておらず,落石衝突時には滑りますのでネ
ジリは働きません。実証実験におきましてもネジリ方向への変形は確認されておりませ
ん。
Q 8) 実証実験では,重錘が縦ロープに当たったため金網が破れなかったのではないで
しょうか?
A 8) 縦ロープに重錘を衝突させた場合のほうが金網に与えるダメージは大きいのです。重錘
を縦ロープに衝突させても縦ロープは横に逃げて重錘を直接受け止めません。逆に金網
の変形を拘束するため,縦ロープ付近の金網は損傷が大きくなります。また,縦ロープ
部分は金網の継ぎ目になりますので,落石のエネルギーを吸収するうえで弱い部分にな
ります。
Q 9) 落石の形状によるネットの破れ具合はどうなりますか?
A 9) それは不明です。落石の形状によるダメージの違いについては,どの工法においても解
明されていないと思われます。
Q10) 耐用年数はどのくらいですか?
A10) ワイヤロープ類・金網類の塗装は,亜鉛-10%アルミ合金めっきを標準としております。
また,その他の鋼材は溶融亜鉛めっきで保護しております。そのため耐用年数は,山間
部で50年以上,海岸部で30年以上と推定しております。
Q11) 公的機関に認められていますか?
A11) 国土交通省の新技術情報システム(NETIS)に,登録番号SK-080002-Aで登録されていま
す。また,研究開発においては助成金を活用,得られた技術的知見を公表した結果,次
のような表彰をいただいております。